マンション売却で損しないための3つのコツ

マンション売却で失敗しない方法

マンションを売却するとき、多くの人が「できるだけ高く売りたい」と考えるはずです。

しかし、売却の準備や知識が不足していると、気づかないうちに数百万円単位で損をしてしまうケースも少なくありません。

不動産は一生に何度も売却するものではないため、経験が乏しく失敗が起こりやすい分野です。

そこでこの記事では、FP資格を持つ筆者が、マンション売却で損を防ぐために知っておきたい3つのコツを解説します。

売却の流れや注意点を押さえることで、安心して取引を進めることができるでしょう。

目次

マンション売却の流れを簡単に解説

売却の全体像を理解していないと、どこで損をしやすいのかも見えません。

一般的な流れは「査定依頼 → 媒介契約 → 売却活動 → 内覧対応 → 売買契約 → 引き渡し」というステップです。

マンション売却の6ステップ

これらは一見シンプルに見えますが、それぞれの段階で具体的に注意すべきポイントがあります。

例えば査定依頼の段階では、複数の不動産会社に依頼して比較することが欠かせませんし、媒介契約の際には専任媒介や一般媒介など契約形態の違いを理解しておく必要があります。

売却活動では広告の出し方やターゲット層を意識することが成否を分け、内覧対応では部屋の清掃や明るさの演出が重要です。

売買契約の際には契約条項や手付金の額をしっかり確認し、引き渡しではローン残債や抵当権の抹消手続きがスムーズに行えるよう準備を整えておくことが求められます。

このように全体像を理解しながら、各ステップでどのような準備が必要かを具体的に把握することで、結果的にスムーズで安心できる売却につながります。

マンション売却でありがちな失敗例と注意点

マンション売却で損をしてしまう典型的なパターンをいくつか見てみましょう。

  • 相場を知らずに安く売ってしまう
    →不動産会社の提示価格をそのまま信じてしまうと、相場より低く売却してしまう可能性があります。例えば本来なら3,800万円で売れるはずの物件を、3,500万円で売ってしまった場合、わずか1社の査定だけに依存したことが大きな原因となります。
  • 1社だけの査定に依存する
    →複数の会社を比較しなければ、偏った価格設定になるリスクがあります。ある売主は1社だけに査定を依頼した結果、500万円以上安く売却することになりました。
  • 内覧準備を怠る
    →掃除や整理整頓をせずに内覧を迎えると、買い手に悪い印象を与えてしまいます。過去には「部屋が暗くて散らかっていたため、即候補から外された」という事例もあります。
  • 諸費用や税金を把握していない
    →仲介手数料や譲渡所得税を考慮せずに売却を進めると、手取り額が大幅に減ることがあります。

これらはどれも「ちょっとした準備不足や知識不足」から生じるものです。

逆に言えば、あらかじめ正しい知識を身につけておけば避けられる失敗とも言えます。

コツ1:マンション売却の相場を知り適正価格を把握する

マンション売却で最も重要なのは「適正価格」を知ることです。

相場を理解せずに売り出すと、高すぎても売れ残り、安すぎても損をする結果になります。

  • 査定は複数社に依頼する
    →最低でも3社以上に査定を依頼しましょう。机上査定と訪問査定を組み合わせることで、より現実的な価格が見えてきます。
  • ポータルサイトやレインズ()を活用する
    →売り出し中の類似物件を確認したり、過去の成約事例から相場感を掴むことができます。
  • 相場より高く設定するリスク
    →売却期間が長引き、結局は値下げせざるを得なくなるケースが多いです。
  • 相場より安く設定するリスク
    →すぐに売れるものの、適正価格との差額分を損してしまいます。

例えば「駅徒歩5分」と「駅徒歩15分」では、成約価格に数百万円の差が出るのが一般的です。

周辺環境や築年数、管理状態なども含めて「比較できる目」を持つことが損を防ぐ第一歩となります。

売り出し価格を決める際は「相場+売却希望期間+ライフプラン」の3点を基準に考えると良いでしょう。

「レインズ」とは、不動産会社専用の物件情報ネットワークシステムのことです。正式名称は REINS(Real Estate Information Network System) で、国土交通大臣から指定を受けた「指定流通機構」が運営しています。
レインズを利用すれば「今いくらで売れているか」「どのくらいで成約しているか」といった情報が把握できます。

コツ2:マンション売却を成功させるための内覧準備とホームステージング

売却の成功には「物件の見せ方」も大きく影響します。

買い手に良い印象を持ってもらうための準備を怠らないことが重要です。

  • ホームステージングの活用
    →家具や小物を工夫して配置するだけで、室内が広く明るく見えるようになります。たとえば観葉植物を配置したり、カーテンを明るい色に変えるだけでも印象が大きく変わります。
  • 掃除・整理整頓は必須
    →水回りや床、窓ガラスをきれいにすることで清潔感が増し、買い手の印象が良くなります。
  • 内覧時の工夫
    →照明をつけて部屋を明るくし、生活感を抑えることで「住みたい」と思わせる空間を演出できます。実際に「内覧前に照明を増設したら成約に至った」という事例もあります。
  • 管理状況の整理
    →修繕履歴や管理費の支払い状況をスムーズに提示できれば、安心感につながります。

「この物件ならすぐに住めそう」と思ってもらえる準備をすることで、売却価格やスピードに直結するのです。

コツ3:マンション売却の戦略を立てる|仲介・買取・売却時期の選び方

売却は「戦略」が成否を分けます。特に以下の点を意識しましょう。

  • 仲介か買取かを選択
    →仲介は高値が期待できますが時間がかかります。買取はスピード重視ですが、相場より低くなる傾向があります。
  • 売却時期を見極める
    →不動産市場は春(新生活シーズン)や秋(転勤・異動シーズン)が動きやすい傾向にあります。実際に春に売り出した物件のほうが半年以上早く売却できた例もあります。
  • 値下げ交渉への対応
    →あらかじめ「どこまで下げられるか」を決めておくと冷静に交渉できます。
  • 税金・諸費用の把握
    →譲渡所得税、仲介手数料、登記費用などを計算に入れ、最終的な手取り額を見据えて戦略を立てましょう。

売却活動は「高く売る」だけでなく「適切な時期・方法で売る」ことが重要です。

戦略的に動くことで「売り急いで安く手放す」リスクを避けられます。

マンション売却にかかる費用と税金を徹底解説

売却時にはさまざまな費用や税金が発生します。

これらを把握していないと「思ったより手元に残らない」という事態になりかねません。

  • 仲介手数料
    →売却価格×3%+6万円+消費税が上限です。例えば4,000万円で売却した場合、約138万円が仲介手数料としてかかります。
  • 譲渡所得税
    →売却益が出た場合に課税されます。ただし居住用なら3,000万円の特別控除が使えるケースがあります。
  • その他の費用
    →抵当権抹消登記費用、印紙税、引っ越し費用なども見落とさないようにしましょう。

売却は「売却額」ではなく「手取り額」で考えることが重要です。

税金や費用を事前に理解しておくことで、損を防げます。

マンション売却でよくある質問(Q&A)

ここからは、マンション売却でよくある質問についてまとめています。

マンション売却にはどのくらいの期間がかかる?

マンション売却の平均期間は3〜6か月程度といわれています。

もちろん物件の立地や築年数、価格設定によって差があります。

駅近や人気エリアのマンションであれば1〜2か月で売却できることもありますが、郊外や築年数が古い物件では半年以上かかるケースも珍しくありません。

また、価格を相場より高めに設定している場合は売れ残りやすく、結果的に長期化して値下げを余儀なくされることもあります。

逆に安く設定すれば早く売れる可能性は高まりますが、その分手取り額は減ります。

売却期間を短縮したい場合は、適正価格での設定と、内覧準備をしっかり整えることが重要です。

住宅ローンが残っている場合でも売却できる?

住宅ローンが残っていても売却は可能です。

一般的には売却代金でローン残債を完済し、抵当権を抹消して引き渡す流れになります。

例えば残債が2,000万円で売却価格が2,500万円なら、残債を完済したうえで500万円が手元に残ります。

しかし、売却価格が残債を下回る「オーバーローン」の場合は注意が必要です。

不足分を自己資金で補うか、住み替えローンを利用して次の住宅購入と同時に精算する方法があります。

ローン残債がある場合は、まずは金融機関に返済予定額を確認し、無理のない売却計画を立てることが大切です。

マンション売却にベストなタイミングはいつ?

売却に有利とされる時期は、春(3〜4月)と秋(9〜10月)の需要期です。

春は新年度や進学・就職、秋は転勤シーズンに重なり、引っ越し需要が高まります。

そのため、需要が多い時期に合わせて売り出すと早期売却につながりやすいです。

ただし相場の影響も無視できません。

金利が低い時期や景気が良い時期は買い手が増えるため、売却の好機といえます。

一方で不況や金利上昇局面では需要が落ち込む傾向があります。

ベストタイミングを計るのは難しいですが、「自分のライフプランに合わせる」ことが最も重要です。

次の住まいの購入や資金計画とリンクさせて判断するのが賢明です。

住みながらでも売却できる?

はい、住みながらでもマンションを売却することは可能です。

実際、多くの売主は住みながら売却活動を行っています。

ただし、住みながら売却する場合は内覧対応に工夫が必要です。

日常生活の荷物や家具で部屋が狭く見えないように整理整頓し、生活感を抑える工夫が求められます。

掃除や換気を徹底して清潔感を出すことも大切です。

一方で空室にしてから売却する場合は、見せ方の自由度が高く、ホームステージングでより魅力的に演出できます。

住みながら売却するか空室にして売却するかは、それぞれの事情や資金計画に応じて選びましょう。

買い替えの場合、売却と購入はどちらを先にすべき?

買い替えの際には「売却先行」と「購入先行」の2つのパターンがあります。

売却先行は、今のマンションを売ってから新居を購入する方法で、資金計画が立てやすい反面、一時的に仮住まいが必要になることもあります。

一方、購入先行は新居を先に確保する方法で、住み替えがスムーズにできますが、売却が長引いた場合に二重ローンのリスクを抱える点がデメリットです。

一般的にはリスクを抑えるために「売却先行」が推奨されますが、家族構成や仕事の都合、資金状況によって最適解は変わります。

どちらを選ぶにしても、資金計画を綿密に立てることが必要です。

マンション売却にかかる税金の種類は?

マンション売却で主にかかる税金は「譲渡所得税」「住民税」「印紙税」です。

譲渡所得税は売却益に対して課税され、所有期間が5年以内なら短期譲渡(税率約39%)、5年超なら長期譲渡(税率約20%)となります。

ただしマイホームの売却には「3,000万円特別控除」があり、多くのケースで課税を避けられます。

印紙税は売買契約書に貼付するもので、契約金額に応じて数千円〜数万円が必要です。

加えて、住民税も譲渡所得に対して課税されます。

税金の仕組みを理解し、必要に応じて確定申告を行うことが重要です。

控除制度や特例を活用することで節税も可能なので、事前に調べておくと安心です。

マンション売却に失敗しやすいポイントは?

失敗しやすいポイントとしては、相場を無視した価格設定、内覧準備不足、税金・費用の見落としが挙げられます。

特に価格設定を誤ると、売却が長期化して値下げを余儀なくされるか、早期に売れても損をしてしまうケースがあります。

また、内覧準備を怠ると「住みたい」と思ってもらえず、成約率が下がります。

さらに、仲介手数料や税金を計算に入れていなければ「思ったより手元に残らない」と後悔する結果になります。

こうした失敗を防ぐには、複数社査定で相場を把握し、内覧に向けて徹底的に準備し、税金や諸費用を事前に確認することが不可欠です。

準備と知識を持つことが、マンション売却成功の最大の鍵といえます。

チェックリスト:マンション売却で損しないための準備項目

  • 査定は複数社に依頼したか?
  • 内覧に備えて清掃や整理は行ったか?
  • 修繕履歴や管理状態を整理できているか?
  • 仲介か買取かを選んだ理由は明確か?
  • 諸費用や税金を試算して手取り額を把握したか?

このチェックリストを使って準備を整えることで、安心して売却に臨めます。

FPが考える「マンション売却で損しない」本質的な考え方

マンション売却で「高く売る」ことは確かに大事です。

しかしFPとしての視点から言えば、それ以上に重要なのは「ライフプラン全体の中で最適な判断をすること」です。

たとえば老後資金が必要だから今売るのか、住み替えのために次の住宅購入費用を確保するのか。

目的によって最適な売却時期や方法は変わります。

短期的な損得だけでなく、人生全体の資金計画の中で考えることこそが、本当の意味で「損しない」売却につながるのです。

売却で得られる資金が教育費や老後の生活費に直結する場合も多く、安易に「少しでも高く売れればいい」と考えるのはリスクです。

売却によって得られる手取り額と、今後必要になるライフイベントごとの支出を比較し、無理のない資金計画を立てることが肝心です。

FPの立場からは「売却=資産形成や生活設計の一部」という視点を忘れないようにしていただきたいと思います。

まとめ|マンション売却は相場・準備・戦略で損を防げる

マンション売却で損を防ぐには、

  • 適正価格を知ること
  • 売却活動の準備を徹底すること
  • 売却戦略を立てること

この3つが大切です。

さらに税金や諸費用を把握し、ライフプランに合わせた判断をすることで、安心して取引を進められます。

マンション売却は人生の大きなイベントです。焦らず準備を整え、正しい知識を持って臨みましょう。

また、Q&Aで取り上げたように「売却期間」「ローン残債」「買い替えの順番」「税金の種類」などは、多くの人がつまずきやすいポイントです。

こうした疑問を解消しながら売却を進めることで、後悔のない結果につながります。

マンション売却は単なる取引ではなく、人生設計の一部です。

この記事を通じて、売却を検討する方が正しい判断を行い、安心して資産を次のステージへと活かしていけることを願っています。

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